7月4日 読売新聞 編集手帳

 易者の前で子供たちがふざけて騒ぎ、商売の邪魔をする。「お前たちは、どこの子だ」。易者が怒ると、子供が「当ててみな」
 当たるも八卦、当たらぬも八卦をからかった小咄だが、国政選挙直前の東京都議選という「占い」に限っては高い的中率で知られている。衆院選の行方を占う都議選がきのう告示された
 自民党が下野して細川内閣が発足した16年前の衆院選でも、小泉人気自民党が大勝した8年前の参院選でも、直前の都議選は凄腕の易者を演じている。「新銀行東京」「築地移転」「五輪開催」など都政の争点はあるものの、都民の一票は今回も水晶の玉になるのだろう
 占いといえば、先日の読売歌壇に花占いの歌があった。<たんぽぽの花びらちぎり幼子が「好き大好き」とひとりつぶやく 仙台市 小野寺健二>。「好き」と「嫌い」ではなく、「好き」と「大好き」が素敵である
 解散時期はなお不透明だが、麻生首相は不手際と判断ミスを重ね、民主党鳩山由紀夫代表も不可解な“故人献金”の傷をもつ身である。どちらがマシか、<嫌い、大嫌い、嫌い、大嫌い…>の花占いはつらい。