7月10日 読売新聞 よみうり寸評

 <会社の風土>―4年前のJR福知山線脱線事故の際に、当時のJR西日本のトップがこの言葉を使った
 言われてみれば、どこの会社にもそれぞれに特有の<風土>があるに違いない。良いものは伝統として継承していけばいい。が、悪い風土なら、急いで根本的に改良しなければなるまい
 乗客106人が死亡したあの大脱線事故の直接の原因は、運転士が制限速度を大幅に超えた高速で急カーブに進入したためだが、それを招いたさまざまな状況や背景は、JR西日本という会社の風土に根ざしていると言われても仕方がない
 神戸地裁JR西日本山崎正夫社長を業務上過失致死傷罪で在宅起訴した。「カーブの危険を認識できたのに、経費増大を懸念し、ATSを設置しなかった」
 この起訴理由は<利益第一、ダイヤ優先、安全は二の次>と言い換えてもおかしくない。運転士は死亡、書類送検や告訴された歴代幹部11人は嫌疑不十分で不起訴
 企業風土は起訴できないが、遺族らの反応は「なぜ社長だけ?」だ。