7月4日 読売新聞 よみうり寸評

 「えっ、どうしたの?」。スタンドのあちこちから、そんな声が上がった。「ちゃんと説明しろよ」。怒りを込めたヤジも飛んだ
 先日の東京ドーム、巨人―ヤクルト戦でのこと。二回、巨人の先発グライシンガーが打者を三振に仕留め、ベンチに戻ろうとした。が、審判が待ったをかけた。三塁走者はホームイン。事態をのみ込めない観客は「?」
 原因はグライシンガーのボーク。投球に入る前、体が完全に静止しなかったのだという。翌日の新聞で知った。しかし、球場では審判から何の説明もないまま、試合が再開された
 大相撲で物言いがつくと勝負審判が場内に協議結果を説明する。競馬でも、馬の斜行などでレースが審議になると、内容のアナウンスがある。重要なファンサービスだ
 テレビで観戦していた人は実況の中でボークだと分かっただろう。だが、お金を払って球場に行った人たちに何の説明もないのは、やはり変だ
 正確なジャッジをするのが審判の仕事だが、ファンサービスも忘れないでほしい。